イナズマ

走り去った海翔を見る怜奈の顔。

俺は見てしまった。

切ない顔だった。

そして、怜奈は一瞬俺の方を見たのだが、気付かなかったみたいだ。

海翔が何を見て、走って行ったのかを確かめるように怜奈は、窓の外を見た。


怜奈の手には、海翔に返された、そして受け取ってもらえなかったハンカチが握り締められていた。


俺は、教室のドアに背を向けてもたれかかった。


そして、大きくため息をついた。
切ない怜奈の顔を見てしまったから。