イナズマ

「すごーい。かっこいい」


「だろ?」


先生は、歌を口ずさむ。


そして、みんなが大好きなサビの部分の直前で、俺は指を止めた。



「えっ?」


先生は、驚いた顔をしている。

「実は、ここまでしか弾けない」



先生は、倒れ込んで笑う。


俺だって、かっこ悪いと思った。でも弾き始めちゃったし、そんな俺の姿を見て、目をキラキラさせているすみれ先生を見たら、弾けるところまで弾きたくなってしまったんだ。



「いいところに行く前に、終わっちゃうのね」


まだ、先生は笑っていた。