イナズマ

「だって、、聞こえたでしょ?『門田、ご愁傷さま』」


明らかに松吉は、俺の顔を見ている。

見ているという自覚はあるが、俺は松吉の顔を見ようとはしなかった。

「聞こえたけど」



「みんな、私となんて一緒になるのは嫌なんだよ。どうせ、クラス一のブスだしね。
なんで、こんな席の決め方をするんだろうね?
自分に自信のある子だったらいいけれども、私には残酷なゲームだわ」



「クラス一のブスって誰が決めたんだ?」

俺は言った。


「だって、みんな言っているし、、、」


「みんなって誰?お前が決めたんじゃないの?」

俺は、松吉を問い詰める。

「私だって、ブスって自覚しているもん」


「じゃあ、お前の価値観では、ブスはお前てことだな」



「意味分からない」


「俺の今の彼女が言ってた。『あなた美人ですね』は『あなたブスですね』と同じように聞こえるって。まあ、俺の彼女、超絶美人なんだけれども。」


「それって、なんか深いね。でも美人が言うから意味のある言葉だよね。」



そうか、すみれ先生が言うから意味のある言葉なのか。

確かにブスの代表松吉が言っても、なんか余計みじめな感じがするだけだもんな。


俺だって、松吉は、ブスだと思う。でも、それも俺の価値観の基準。