イナズマ

「ごめんな。海翔じゃなくて」

あれだけ、怜奈とペアになりたかったくせに、いざ怜奈とペアになると、俺は申し訳ない気持ちでいっぱいになった。


怜奈は、俺を見ずにまっすぐ前を見ている。

前には、すみれ先生が座っている。


「私は、促されたから振り向いたんじゃないよ。自分の意志で振り向いたんだよ。

颯太だろうなぁーって、思って。」


怜奈は、まだ、俺の目を見ない。

俺としては、嬉しいことを言われているはずなのに、怜奈の声のトーンのせいか、素直に喜べなかった。