ー悪いって、思ってんのかな。


「わかんないよ。」



人生で初めて殺った、あの人。



なんで今更…出てくるんだ。



『自分のことは自分がよくわかる』、なんてよく言うが、彼女には自身が分からなかった。



道に落ちている小石を一つ蹴る。



ー子どもじゃあるまいし。




幼稚な行動をとった自分を嘲笑した。



ーもう、考えるの、やめよう。


なんとも感じてないし、と思考を止めた。



〈怖がってるくせにぃ〉



耳元で囁くような声が聞こえた。
いや、"気がした"んだ。


だってそれは、その声は、今はもう、亡い。