うららかな春の日差しが差し込む大きな窓。
真っ白なカーテンが、時々風に乗ってふわりと揺れる。


3階にある教室。窓際の席から外に視線を巡らせる。
銀杏の木に囲まれた、緑あふれる中庭が見渡せた。


……ここからじゃ、美術室は見えないか。


今までは、教室から見えたはずの美術準備室が見えないことに、なんだかちょっとだけ残念な気持ちになる。


洸さんを見れていたわけではないけど、その気配を感じることは出来てたもんなぁ。


でも。
……それでちょうどよかったのかな。


洸さんのことを好きなこの気持ちを大事にしたいって思ってはいるけど。
それでも、いつかは諦めなきゃいけない。

わかってる。ちゃんとわかってるの。
あたしのこの想いは、決して洸さんに届くことはない。
言葉にすることも、ダメなんだって。

叶わないこの恋を、いつまでも追いかけるわけにはいかないもん。

……。
あたしも、そろそろ前を見なくちゃ。