間近で見た洸さんの顔が、頭から離れない。 ……あれは……。 ふと視線を上げると、乱雑な室内で、一か所だけきれいに片づけられている場所を見つけた。 ドクン 今度は鈍く鳴る。 喉の奥がギュッとなる。 あの絵だ……。 完成したのかな。 絵の中の彼女は、笑顔でわたしを見下ろしていた。 ツラそうに目を閉じる洸さんを睨んで、思わずため息が漏れた。 「……わたしは、フラれたんだから……」 洸さんにとって妹みたいで、ただの同居人で、なにより……生徒。 わすれちゃダメだ。