恋するマジックアワー


まるで押し倒されるような体勢。

右の首筋に、少し荒い吐息がかかる。




「っ………」



な、な…………なにこれ……。


思わず叫びそうになるのをなんとか押し込める。

グッと唇を噛みしめ、ついでに体もガチガチに固まってしまった。



ど、どうしよう……。


倒れたまま、身動きひとつしない洸さん。

おずおずと洸さんを見る。

薄く唇を開けた洸さんは……え、寝てる!!?



「…………」

「………ん……」



その時、閉じられていた長いまつ毛がふるりと震え、ふと瞼が開いた。
濡れた瞳が、ぼんやりとこちらを眺めている。


え、え……?
なんかすっごい見られてる……?


なんで?


ボーっとしたままの洸さんの瞳は熱に浮かされていて、ゆらゆら揺れていた。



ベッドでふたり、見つめ合う。

これって、この状況ってやばいんじゃないの!?
はやくどかないと……、


っ!



ガチガチの体がビクリと跳ねた。

ベッドに投げ出されていた洸さんの手が髪をすいたと思ったら、その指先はわたしの頬を滑る。

洸さんは視線をそらさずに、まるで雪に触れるように、優しく……。



ドキン

ドキン

ドキン



どうなってるの……。