恋するマジックアワー



「すっごい散らかってるね……」



ジトッと睨みながら部屋の中を指差すと、洸さんは「あー……」と苦笑いを零した。


「まあ……めんどーで」

「リビングはいつも通りなのに」

「……こっちは海ちゃんが帰って来るしさ」

「……」



わたしのため?
だから、体がしんどくても片づけてくれてたってこと?



きゅーーん



…………は!だ、ダメダメ。

性懲りもなくときめきそうになるのを必死でかき消す。



「と、とにかく! 片づけ手伝う!部屋はキレイにしてないと治るものも治らないし。入らせてね?」

「だめ」



えっ!?


はっとして顔をあげる。

きょ、拒否された……。

あの日の痛みがフラッシュバックする。


洸さんはリビングの入り口に寄りかかったまま、わたしをまっすぐ見た。