強い口調だった。

はじめてみる、洸さんの顔。


「……」


怒ってもいないし、動揺もない。
ただ……そこには、なにもない。



「ごめん立花。それ以上は聞けない」

「………………」



言葉になって、形になって生まれようとしたあたしの”気持ち”。

でもそれは許されなかった。







「…………、失礼します」


たぶん、なんとかそう言ったんだと思う。
気が付けばあたしは、学校を飛び出して真っ暗な街中を彷徨っていた。



洸さんの彼女?

そんなのどうだっていい。

あたしの存在は、彼女を気にする程でもなかった……。


ほんと、バカだ……。




目の前が、真っ暗で
なにも見えなくて


自分がどこへ行けばいいのかもわからなくて……。




「……言わせても、もらえなかっ…………う……」



……苦しい

苦しいよ……




……あたしは今日、大切なものを自分の手で殺してしまった。