恋するマジックアワー


もしかして……今、わたしのこと可愛いって。
そう言ったの?



「わ、わたし……、意地っ張りだもん」

「強情だな。あと怒ると怖い」

「……ケンカ売ってんの?」


なにそれ。

ほら、やっぱり。
女の子としての可愛いじゃないんだ。


こうしてくれるのも、妹みたいって思ってるから?

ムッとしてジロリと見上げると、頭一つ分高い洸さんは小首を傾げて見せた。



「洸さんは意地悪」

「俺が? 俺めちゃくちゃ優しいでしょ」


だって、今だって天使みたいな顔してわたしに笑いかけるくせに。
少しつま先立ちしたら、触れられそうな場所に居ても、わたしに触れてくれないんでしょ?



「あ、そうだ」

「ん?」



思ってた通り、呆気なくわたしから手を離した洸さんが、海を眺めながら言った。

同じように向き直り、洸さんの言葉を待つ。



「ひとつ。謝らなきゃ」


え?

キョトンとしてると、洸さんはチラリと顔を上げた。
まるでわたしの様子を伺うように。



「食べないと育たないって言ったろ?」

「ああ……」

「あれな。まぁ、忘れてくれ」

「え?」


忘れろ?


「もちろん食育は大事だ。食べないとダメだけど、なんて言うか、キミは、とても良い」

「……?」

「そこは、俺が見くびってた」

「……」


……ん?

それって……、あっっっ!



「さ、最低ーーーーっ!!!!」