恋するマジックアワー



「……」



キッチンのテーブルにコンビニ袋を置いたまま、怪訝そうにわたしを見つめるその瞳。


くわえていたタバコを指に挟んで、さらにその眉を寄せた。



え、え……ええっ!!!?

ちょ、ちょっと待って……

部屋、ま、ま、間違えた?


間違えたんだっ

じゃなきゃ、お、男の人がいるわけ……っ



「ご、ごめんなさいっ!間違えましたっ」



わたしはもう一度頭を勢いよくさげて、駆け出した。

でも、すぐに鞄を忘れた事に気付いて、ソファに戻る。


ああ、もうっ

バカバカっ!



その時、勢いよくテーブルの足に、小指をぶつけてしまった。



「……っ……」



……痛い~~。

恥ずかしいし、消えてなくなりたい。


思わずソファに倒れ込んで、痛みに耐えているとすぐそばに煙草の匂いを感じて固まった。



やばい……。


わたし、捕まっちゃうかも……。