恋するマジックアワー



洸さんの指差した先を追う。
海の向こう側に太陽が沈んでいく。



「……すごい……」



太陽が地平線から見えなくなって、不思議な光が世界を満たしていく。

青……紫……うんん
どんな色にも例えられそうにない。

まるで太陽が、空を照らしてるみたい。

影もなくて、でも明るくて。
だからなの? すべての色がまるで溶け合ってくみたいに曖昧。



ザザーン
 ザザーン



聞こえるのは、波の音。
それから、髪を揺らす海風。


鼓動


信じられない。

今までゆっくりと空を眺める事なんてなかった。


こんなに綺麗な世界があったんだ……。
色に溢れてる。

ヤバい……泣きそう。


刻々とその表情を変えていく空に、目を奪われる。
うんん、空だけじゃない。
海も、雲も風も、すべてが優しくわたしを包んでくれていた。




「ど?魔法にかけられた?」

「……え?」



手すりを握りしめていたわたしの顔を、洸さんがチョイと覗き込んできた。