恋するマジックアワー


―――――……っ!

ガバリと起き上がると、その勢いで膝のうえから布団がずり落ちた。


「あれ……」


わたし、部屋で寝てたっけ?

あ、そっか……リビングで寝てたのが夢で、しっかり布団で寝てたんだ。

それにしても……なんて夢を……。


断片的に思い出す洸さんの顔に、一気に顔が火照っていく。

あーやばいやばい。
わたし、重症かも……。

その熱をなんとかしたくて、ヒラヒラと手で仰いでいたその時だった。

リビングで物音がしたと思ったら、いきなり部屋のドアが開いた。


―――バン!



「起きろ!」

「え、な、なに!?」


勢いよく飛び込んできたのは、サンタさん……じゃなくて、いつもの洸さんで。

ベッドの上で固まってるあたしの前にズカズカと歩み寄ると、じゃらりと何かをかざした。



……?

なにそれ……鍵?


ずり落ちたままの布団を慌てて引き寄せて、ギュッと抱く。
警戒心丸出しのわたしに、洸さんは小首を傾げると、にっこり微笑んだ。



「出かけるぞ」

「……」



……え?