その日はとても疲れていた。
午前1時を過ぎている。
仕事から帰り、バスルームへ向かう。
ユニットバスのシャワーカーテンをひく。
しばらく頭を流していると、
電球がついたり消えたり
なんだ?と思い、カーテンを開けると
その電球は、恐ろしい形相をした女の生首に変わっていた。
首が伸びてきて、今にも僕に噛みつきそうになった時、
僕は気を失った。

外は明るくなっていた。
その電球も何事もなかったかのように。

僕は早々にそのマンションを
引っ越すことにした。
ただ、あの生首、噛みつきそうになった後、
ふと寂しい表情に変わった瞬間、
僕は少しだけ、美しいように思えた。

そんなふうに考えるようになってから
やたら肩がこるようになった。

知ってるよ 「君」がその長い濡れた髪を
僕の髪に結び付けて、僕の首のまわりを
ごろんごろんしてるのは。

わかってるよ
わかってるったら、君は美しいよ