涙を拭ってくれ、そして私をそっと抱きしめてくれる。 「その涙は嬉し涙…、かな?」 心配そうにそう聞いてくる王子様に、コクンと頷いた。 王子様が喜んでくれるなら…、 私は喜んでウソをつこう--- それがたとえ、悲しみの涙だとしても。 「そう…、良かった」 ホッと息をはいた王子さまは、私を抱いた腕を更に強く抱きしめてきた。 言葉を話す事の出来ない私は、王子様の胸で自分の思いをギュッと押し込めていた。