取り繕うように、王子様に微笑みかけた。 すると私の笑顔を見た王子様はホッとしたのか息をはき、そして私に笑みを向けてくれた。 その微笑を見るだけで、私は幸せになれる--- たとえ…、 報われなくとも。 「さぁ、そろそろ城に戻ろう。わたしの婚約者がもうすぐ来るはずだ」 幸せそうにそう言った王子様の言葉に、胸がチクリと痛んだ。