【完】まりあ ~人魚姫の涙~



「いえ…」




あぁそっか…、




と、その場の状況にすぐに気付きそう答えた。




上条さんが私の髪を触ろうとしたところで、裕也さんがその手を叩いたのだ。




チラリ…と、裕也さんを横目で見てみた。



そこには穏やかな表情をした裕也さんがいた。




さっき一瞬、裕也さんから殺気を放ったように感じたのは気のせいだったかな?




思わず小首を傾けた。




「あっ!まりあさんって事は、キミが人魚姫役の?」




コクリと頷く私に、上條さんは右手を差し出してきた。




あ…、




握手かな?