「いいや…。その者に私の本を託しただけだ」
「………」
「そしてその本にも私は、呪いをかけたんだ。…マリアが生まれ変わった時、その時代にマリアを愛する者達も集うようにと…。そして私の脚本にも呪いをかけた。…この映画にマリア達が集うように…、とな…」
「監督…」
「…私はずっと、お前には申し訳ない気持ちでいっぱいだったんだ。お前の愛する人と結ばれなかったら、泡になってしまう薬を渡してしまった事を…」
一呼吸置き、そして監督は私の目をジッと見つめる。
お婆さんが…、
監督がずっと私に対してそんな気持ちでいたなんて、思わなかった---



