顎に手を置き、目を閉じながら監督は何かを考えていた。
そんな監督を、やはり私達はジッと見ている事しか出来ないでいる。
「うんうん、そうだそうだ。マリアが泡となった時、生まれ変われるように私が呪い(マジナイ)をかけたのだがついでにマリアを愛する周囲の者達も一緒に生まれ変われるよう、呪いをかけておいた」
「………」
監督から出る言葉は本当に突飛すぎて、言葉も出ない。
「後は200年程前だったかな?私は一冊の本を書いたんだ。…『人魚姫』と言う話しだよ」
「『人魚姫』?…じゃぁ、監督は人魚姫の著者であるアンデルセンですか?」
敦さんの言葉に首を横に振る監督…。



