【完】まりあ ~人魚姫の涙~



ドアを開けた瞬間、ほこりくさい匂いが鼻をつく。




室内は暗闇が広がっていて、監督がまだ来ていないことが容易に理解できた。




敦さんが手探りで電気のスイッチを探し出すと、すぐに部屋を明るくしてくれた。




「まだ、監督来てないね」




「そうだな…。で?監督、何の話しを俺達にしようとしてんのかまりあは知ってんの?」




「うん…。多分?」




「多分?」




首を捻る敦さんに、私も思わず首を傾けた。