【完】まりあ ~人魚姫の涙~



かなり痛む自分の顎を撫でながら、監督の登場にホッとし胸を撫で下ろした。




「二人ともおはよう…」




「おはようございます、監督。もう、裕也の出番は終わったのかしら?」




「今は、休憩中だ。それよりも二人でなにをしていたのかな?ただ事ではない雰囲気だったように見えたが…」




「いいえ、なんでもありません。ただ雑談をしていただけです。…では、失礼致します」




そう言った麗華さんは私に背を向け、そのままカツカツと赤いハイヒールを鳴らし颯爽と歩いていく赤いスーツ姿の麗華さんを唖然と見つめた。