【完】まりあ ~人魚姫の涙~



「それはないだろ?…あの時、兄さんは一人だった」




何かを考えたようにそう呟く敦さんに視線を向ける為、蒼ちゃんから体を離す。




お茶を手に考え込む敦さんを視界に入れながら、さっきの言葉が気になった。




「…なんでルイス王子が一人だったって知ってんだ?…見てたのか?」




蒼ちゃんの言葉にはっとした。




…そうだ。




なんでルイスが一人でいた事を、アラン様は知ってるの?




一人でどこかに行ったのを見たとかではなく、落ちる瞬間まで一人でいたのを見ていたと言う事?




「あれ?何でだ?………兄さんが一人でいるのを俺はこの目で見た。…そして」