…そう、あの顔合わせの日から敦さんとは何度か会っていた。




別に個人的に会っているわけではなく、衣装合わせやカメラテストなどでここ二週間の間に何度か敦さんに会っているのだ。




その時の敦さんは本当に優しくて誠実だった---




素敵な人なのは凄くよく分かった。




でも、やっぱり私は裕也さんにどうしても視線が向かってしまう。




視線が裕也さんに向くたび、敦さんにヤキモチをやかれてしまうのにも困ってしまっているのだけれど---




「あっ…」




敦さんの事を考えている傍からまたメールの着信音が流れてしまい、思わず体が固まってしまう。




「どれ…」




「ちょっ…。蒼ちゃん?」




私の手からスマホを奪った蒼ちゃんは、それを弄り始めた。