役者さんの紹介が全て終わった。
司会者がマイクを監督に渡している。
マイクを受け取った監督さんはすぐにその場で立ち上がると一つ咳をし、ゆっくり周りを見渡した。
「皆さんこんにちは。星野です」
ズッシリと重い声色で挨拶する監督に、背筋が真っ直ぐになる。
口周りに白髪の髭を生やし赤い監督帽子を被るその人は、とても貫禄がある。
でも目尻が少しばかり下がっていて、とても優しそう…。
そんな監督が話していた中で、気になる事があった。
『最後のシーンには台本がなく、その場でセリフを覚える』
と…。
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