「あ、あたし好きな人ができたんで別れてくださいすみません!ありがとうございました!!」
早口でそう言ってその場から逃げてしまった。
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「ちっ」
追いかけるか?
それとも。悪い噂を校内に撒き散らすか。
「兄貴、もうやめたら?」
弟が2階から降りてきた。
「…皐月」
「いいじゃんあの2人。両思いなんでしょ?邪魔することないよ」
「あいつはっ…」
「?」
「恵里香は、本当に好きになれると思ったんだよ。今までだって遊びじゃない。本当に好きになれる人を探してたんだよ…」
「兄貴、優しいし顔もいいからあの女の人以外にもいると思うよ。弟の俺が保証する」
「っ…。ありがとな、皐月。もうこんなことやめるわ。お前も、恋愛がんばれよな」
「俺は…今は受験勉強中だしいいかな」

