新学期が始まってから、
一週間が経とうとしている。
先生も私たち生徒も慣れたのか
原口先生のことは
ほとんどの人が原口と呼ぶ。
ある日の休み時間、
「はらぐちー。係とか委員会とか
いつ決めんの?」
クラスの中心的な男子の黒田が叫ぶ。
「あ、あぁ、忘れてた―。」
原口が頭をかく。
「原口、24歳なのに忘れっぽいよ」
その黒田の一言でクラス中が笑いに包まれた。
私と優子は窓側の友達の席に座って
そんな原口を見て笑う。
「原口って、意外といい先生じゃない?」
優子がつぶやいた。
「裏とか見たことないもんね。」
私も一週間のうちにそんな考えが思い浮かんでいたのだ。
原口って、若いからなのかな。
生徒との距離が近いっていうか
お兄ちゃんみたいな存在で
安心して信頼していい人なのかも。
