『うえーん……えーん……』
視界が暗闇に包まれたと思えば、何処からか聞こえてきた子供の泣き声。
その泣き声と共に暗い視界に差し込んだ光。
眩い光に目を細め、その明るさに慣れてきた頃に映ったのは座り込んで泣きじゃくる小さな子供とその子を見つめるオッドアイの少年の姿。
「リオン…?」
悲しそうな瞳をする少年に見覚えのあるコウガは彼の名を呼ぶが、彼は何の反応も示さない。
『リオンには君の姿は見えておらんし、声も聞こえておらんよ』
頭に直接響くのは、どこか楽しそうに言うセルビアの声。
反射的に振り返るが彼女の姿は何処にもない。
「どういう意味だ?」
『何、君がリオンを心配しておる様だから、今のリオンを見せておるのだよ』
怪訝な顔で問うと、彼女は何か問題があるかと首を傾 げながら姿を現した。
「懐かしいな。幼い頃の彼はよくこうして泣いておった。今では泣く事も、笑う事すらもないがな」
「幼い頃の彼?」
彼女の言葉に疑問を抱き首を傾げると、彼女は泣き止む様子のない子供を見つめたまま頷いた。

