Blood Tear



 「神として崇められ愛されてきた彼が、危険をおかしてまで故郷を離れ、我のような奇妙な人物に会いに来た。そして夜中に1人我の元へと訪れた。そんな彼の行動が不思議なのだろう?」


小首を傾げる彼女は何故か楽しそうに言う。


そして顔を歪めるコウガを見つめるとクスリと笑いベ ッドに寝転んだ。




 「他人の心配ばかりして、お人好しすぎるな、君は」


 「貴女こそ、人の事は言えないでしょう?」


自分を気にかけ真夜中に1人訪れた彼女に一言。

すると寝転ぶ彼女は馬鹿を言うなと鼻で笑った。




 「我は心配などせぬ。事態が面白くなりそうだから関わるだけだ」


耳元で囁く声。

前方から消えたセルビア。

背後に感じる人の気配。



いつの間にかコウガの後ろに移動していた彼女は悪戯に口角をつり上げた。



何をするつもりなのかと振り返ろうと試みる。


が、後ろから伸びてきた小さな掌。


それは彼の両目を覆い視界を奪った。