薄暗い部屋の中、ベッドに仰向けの状態で寝転がるのは腕を額に載せ天井を見つめるコウガ。
寝付けない様子の彼は考え事をしているのか、深い溜 め息をつくと寝返りをうつ。
彼とは正反対に隣で爆睡するレオンを一度見つめるとゆっくり瞳を閉じた。
「何を考えておる?」
眠りにつこうとした瞬間に聞こえた声。
突然の事に閉じたばかりの瞳を見開くと勢い良く身を 起こし振り返る。
「セルビア!?」
唇に指を添え静かにしろと合図するのは、左目を前髪 で隠すボブヘアーの少女、セルビアである。
赤髪の彼女は空いたベッドに腰掛け悪戯に微笑む。
「あまり騒ぐと彼が目を覚ましてしまうぞ」
脚を揺らしながらそう言うと疲れているのか大きく欠 伸をする。
「何をしに来た?」
無防備な彼女を鋭く睨み問うコウガ。
すると彼女は肩をすぼめながら鋭い瞳を見つめ返す。
「そんなに警戒しなくとも、何もしやしないさ。只、君が悩んでいるようだから様子を見に来たのだよ」
「俺が何を悩もうと貴女には関係ない」
「確かにそうだ。だが、長旅で疲れておるのに休め ぬのは辛いだろう?悩みの1つ解決すれば直ぐに休息 がとれるぞ?」
彼女の言葉に眉を潜めると、何が可笑しいのかフッと微笑むセルビア。
「まぁ安心しろ。リオンなら大丈夫だ」
また心を読んだのかと怪訝な顔をするコウガだが、セルビアは遠くを見るような瞳をして呟いた。

