「遅くにすみません」
灯りも付けず机の上の蝋燭だけに火を灯すセルビアの家に訪れたリオン。
彼は礼儀正しく頭を下げる。
セルビアはそんな彼に席を勧め、彼の向かいに腰掛けた。
「リオン、君は変わった者達を連れておるな」
ホットミルクを注ぎながら言うと肘をつきそれを口に運ぶ。
「特に彼、コウガと言ったか、彼には興味がある」
口の端を吊り上げ笑うが、反応のない彼を目に溜め息を吐く。
「無駄話はしたくない、か……君は相変わらず真っ直 ぐだな、リオン」
「貴女こそ、変わっていませんね、セルビア」
「何を言う」
落ち着いた物言いのリオンにフッと笑ってみせる彼女。
指でコップをつつきリオンに勧める。
「本心を隠し強がって、本当は何時も、心は泣いているのに……」
彼の言葉に力タリと音を立てコップを置いた彼女は不機嫌そうに席を立つと本棚の方へと歩いて行った。

