Blood Tear



 『すまぬ。心を読んでしまったようだ』


コウガの反応に謝る彼女。

だが彼女の唇は動いていない。

それで確信した。
彼女はコウガの心に直接話しかけているという事を。




 『物分かりがいいな、君は』


 『セルビア、君はリオンの力を奪ったのか?』


話が早くて助かると微笑む彼女に、

い掛けた。


すると彼女は短く笑う。


 『奪ったとは言葉が悪い。この力はリオンも了承済みだ』


 『了承済み?』


眉間に皺を寄せ問うと彼女はコクリと頷く。




 『リオンだけは信じておる。だから彼からは許可を得た。そして未来を視る青い瞳を分けてもらった。ただそれだけだ』


そう言うと彼女はコウガを鋭く睨む。




 『我は君の力が欲しい』


突然話を逸らしたセルビア。

彼女の言葉にコウガは眉を潜める。




 『…俺は大した力は持っていない……』


 『何を言っておる。君は持っておるだろう。巨大な力を……』