馬車から離れた場所、テーブルに腰掛けるのはリオン、シェノーラ、ジークの3人。
細身の侍女が1人、ティーカップに紅茶を注ぐ。
リオンは馬車を引き上げる4人を不安げに見つめ、シェノーラはそんな彼に微笑みかけ紅茶を進める。
ジークは長い脚を組みテーブルに肘を付け4人を眺めお菓子を口に運んでいた。
「何だか楽しそうね、ジーク」
紅茶を見つめ言うのはシェノーラ。
その声に視線だけ彼女へと向ける。
「楽しそうだなんて。只、私は……」
紅茶を一口飲むと再びコウガ達へと視線を戻す。
「狼の血を引く者に赤目の死神。神の瞳に風使いの少女。そして、彼等を連れる強い力を秘める者……そんな彼等に興味があるだけですよ」
「興味、ね……確かに、彼等が一緒にいるのは偶然と は思えない。不思議な出会いだと言えるわね」
紅茶をゆっくりと口に運び目を細め言う彼を見て静かに微笑むシェノーラ。
傍で2人の様子を伺うリオンは不思議そうに見つめていた。

