Blood Tear



眠りについたのか顔を伏せる彼だったが、数秒もしない内に反射的に眼を開く。


先程の穏やかな瞳とは打って変わり、鋭い視線を送る彼。



睨むように見つめる先は近くの茂み。


その茂みから聞こえるのは葉の擦れ合う微かな物音。



風に揺れ発した音ではないその音は、何かが潜む事を意味している。



コウガが殺気だった空気を放つ中、水辺に足を浸して いたレオンは何かの気配に気づき立ち上がり、水面を 覗き込んでいたイースはリオンを背に立ちはだかる。


背に隠されたリオンは心配そうな面持ちで茂みを見つめ、腰掛けるクレアは興味がないのか目を瞑ったまま 身動き1つ見せない。




4人の瞳が一点に集中する。

何かが潜むその茂みに…



緊迫した空気の中、悪戯な風が一吹き。


茂みの葉を一際揺らすと、中にいたものは驚いたのか勢い良く飛び出してきた。




姿を現した瞬間4人は身構える。

武器を手にし上体を低く保つ。

今直ぐにでも攻撃を仕掛けられる準備を整えるが…




 「…リ、栗鼠!?」


緊迫した空気の中、素っ頓狂な声を上げたのは茂みを睨んでいたレオン。



彼は数回まばたきをするとゆっくりと溜め息を吐き頭を掻く。






クリッとした大きな瞳。

ヒクつく小さな鼻と長い髭。

何かに怯えているのか小さな身を震わせ顔を右往左往と動かすのは小さな小さな栗鼠だった。