真正面からコウガを見つめ、無駄のない動きで回し蹴 りを繰り出す。
突如として現れた少女に驚きながらも身をくぐめ難なく交わす。
そして身体を捻りながら剣で胴を切った。
コウガに攻撃を仕掛けた少女は距離を取る。
少女の横腹の服は裂けてはいるが、傷は負っていないよ うだ。
コウガを見つめる少女はフラフラと数歩後ろに下がるとバランスを崩したのか尻餅をついてしまう。
素早く立ち上がるが再び膝をつき座り込む。
そしてそのまま力無く俯いた。
動かなくなった少女を威嚇しながらも不思議そうに目 を向けていると…
「まだ調整が必要だね」
眼鏡の男性が顎に手を添えながら呟くと少女に歩み寄 り彼女の髪を乱暴に掴んだ。
髪を掴まれ顔を上げるが開かれた瞳には光はなく、 表情のない少女は人形のように動かない。
「今度はいい返事待ってますよ、リオン様」
少年に向かってそう言うと、懐から液体の入った試験 管を取り出しその中味を地面に垂らす。
するとモクモクと煙が立ち上り2人の姿を包み込んだ。
そして煙が消えた頃、そこには誰の姿もなかった。
2人は煙と共に姿を消していた。

