互いに駆け引きをしていたのかもしれない。
自分が退くか、相手が退くか。
共に死ぬか、生き残るか。
数秒と言う短い時間の中で、2人は考えに考え抜いた。
その結果、そんな賭は成立しないものとなった。
どちらもが自らの意志を曲げる事無く、真っ直ぐに貫き通す。
そう決めたから。
「「コウガ!!」」
見守るレオン達は名を叫ぶ。
自分達の声など届きはしない事位、こんな叫びに何の意味も無い事だってわかっている。
だがそれでも、叫ばずには居られなかったのだ。
声を出さずには居られなかったのだ。
そうでもしないと、気が狂ってしまいそうで。
何か間違いを犯してしまいそうで。
見守る事しか出来ない自分達にはそれ位しか為す術はなく、何もできやしない。
だから彼の名を叫ぶ。
かけがえのない仲間である彼の名を。
生き抜いて欲しい彼の名を。
大切な友の名を。

