フッと笑うライアは腰に仕舞っておいたサバイバルナイフを手に取ると、それを背に回し振るわれた刃を防ぐ。
「良いのかい?君の大切なお嬢様を護らなくて」
「っ!?」
ライアの背後を取ったジークだが、振り下ろした刀は弾かれてしまう。
すぐさま次の攻撃へと移行するが、意味ありげな彼の言葉と悪戯な笑みにハッとしたジークは顔色を変え振り返る。
見開かれたその瞳に映るのは、短剣を手に構えるシェイラの姿。
その後ろには彼女に矛先を向ける弓矢が宙に浮く。
「ジーク!」
彼女を護ろうと駆け出す彼の名を叫ぶシェイラ。
その叫びの意味さえ理解出来ぬ状態の彼は彼女の名を呼ぼうと口を開くが、その唇からはその名を呼ぶ言葉は出ない。
「っ……」
背に走る鋭い痛み。
振り向けば、嫌味に笑うライアの姿。
そして深々と腰に突き刺さるサバイバルナイフ。
「安易に敵に背を向けちゃいけないよ」
傷口をえぐりながらナイフを引き抜くと、シェイラを見つめ血塗れた刃を振り上げる。
「君のせいだよ。無力な君のせいで彼は死ぬんだ!」
楽しそうに言いながらナイフを振り下ろすが、それを防ぐように鳴り響く銃声。
ジークを仕留めかねたライアは舌打ちしながらその場から身を引いた。

