「でもそれじゃあ楽しくも何ともないか。折角の機会なんだし、もっと楽しむべきだよね。いたぶって痛めつけて、死ぬ寸前までこの顔を瞳に映してさ、後悔させてあげるよ。僕を否定した事を。僕を拒絶し続けた事を」
声を上げ笑いだすライア。
彼は冷めた視線を向けてくるコウガ目掛けサバイバルナイフを振り下ろす。
「っ……!」
「もっとその声を聞かせてよ。もっと苦痛に歪めた顔を僕に見せてよ。ねぇ、コウガ!」
左肩に突き刺した刃で傷口をえぐるライアは楽しそうに言うが、一向にコウガは苦痛の叫びをあげる様子も見せない。
耐えるように噛み締める唇からは血が流れ、鉄の味が口の中に広がってゆく。
堪えようの無い激痛を身に受けながらも、決して根を上げる事は無かった。
「強情だね、君も。でも、何処まで耐えられるかなぁ?何時まで強気でいられるかなぁ?ハハッ……楽しみだよ。君の泣き叫ぶ姿を見るのがさぁ!」
「くっ…ぅっ……!」
肩から刃は引き抜かれ、鮮やかな血液が宙を舞う。
「さぁ、死へのカウントダウンの始まりだ!」
クルリと指先でナイフを回し遊ばせるライア。
彼はコウガの顔を左手で掴むと、掲げたそれを振り下ろした。

