怪訝な顔でその様子を見つめていると、ライアの右手には何時の間にかレイピアが握られており、素早くその切っ先をコウガの喉元に突き付けた。
「っ……」
「彼女はさ、約束してくれたんだ。自らの願いを叶える変わりに、僕の力になってくれると。交換条件と言う訳さ。物事には何にでも見返りと言うのはつきものだろ?」
首を傾げる彼は乱れた髪に指を通し、顔にかかる横髪を耳にかける。
「僕の身体はこの世界で長く存在し続けるのは困難でさ。だから僕は見返りに、彼女からこの身体を貰う事にしたんだ」
一呼吸間を空けるライア。
コウガの顔に手を伸ばし、ゆっくりと指を這わすと顎に添え、彼はコウガに顔を近づける。
「その言葉の意図する事位、君にも分かるよね?」
間近に迫るのは恋人であるアリアの顔。
その中身は違えども、彼の心臓はドキリと跳ねる。
「この肉体は、君が愛したアリアの身体。それを君は傷つける事ができるのかな?」
赤い唇を舐めるライア。
至近距離でコウガを見つめ、妖艶に微笑んで見せる。

