殺意のこもる鋭い瞳に睨まれようと、怯えた様子1つ見せる事の無いライアは緊張感無く短く笑う。




 「嘘なんかじゃないよ。これは事実。真実なんだ」


背もたれの上に両手を乗せ、その上に顎を乗せるライア。


上目遣いにコウガを見上げ、楽しそうに観察する。




 「君を騙そうとしたのは悪いと思ってる。この通り、謝るよ。でも、だからと言って疑ってばかりいな くてもいいじゃないか。僕の言っている事全てが嘘と言う訳ではないのだから」


意味ありげな内容に目を細めるコウガ。

その表情にライアは嫌味に笑う。




 「例えば、君の恋人アリアが自由になる事を望んでいた事とか、その為に彼女が僕に助けを乞うた事とか。残念だけど、彼女が死を望んでいたのも事じ――」


シュッと風を切る刃。

崩れた床に突き刺さる切っ先。


巻き起こる風に黒髪は揺れ、数本の髪がハラリと舞った。



綺麗な頬には赤い線が浮かび上がり、ツッと伝う鮮血はポタリと床に零れ落ちた。