「何?そんなに気にくわなかった?僕のこの姿が」


軽やかに飛び跳ね振るわれる剣からその身を守るライア。


腰まである長い黒髪は動く度にフワリと揺れる。




 「でも仕方ないんだよね。だって、これが今の僕の姿なのだから」


 「…なっ……!?」


一瞬彼の言っている言葉の意味が理解出来なかった。


しかし、その言葉の意味を理解した瞬間、剣を振り上げたコウガはそのまま動きを止める。




 「言っただろう?今日此処で、僕は君に素顔を見せると」


丁度後ろにあった木製の古びた椅子に腰掛けるライア。


優雅に脚を組む彼は悪戯に口角を吊り上げる。




確かに、昨日彼はそう言った。


此処でフードを脱ぎその素顔を晒すと。



しかし、自分を騙そうとしていた彼をそう簡単に信じる訳にはいかない。




 「まだ嘘を吐くつもりか……」


低い声で言うコウガは上空で待機する剣の柄を力強く握り締める。