差し伸べられたその手を取ろうと伸ばされる右の掌。



しかしそれは彼女の手を掴まない。




 「…違う……お前は…お前はアリアじゃない!」


 「チッ……」


彼女の手を弾き左手に持つ剣を振るうコウガ。


斜めに斬り上げられたその刃を身をそらし交わす彼女は舌を打つ。



普通なら避ける事の出来ない攻撃。


それを素早い動きで交わした姿を目に確信した。


彼女は、目の前のこの人物は、アリア・ダージェス彼女ではないと。




 「あぁあ、もうバレちゃったか。後一押しだったのになぁ」


髪をかきあげ悪戯に笑う、アリアそっくりなこの人物。


その口から漏れるのは、聞き覚えのある少年の声。




 「ライア…貴様……」


剣を握り締めるコウガは思い当たる人物の名を口にする。


すると彼女…否、彼ライアはケタケタと笑い初め、焼け焦げた黒い壁に背を預けた。