煌めく刃。
見開かれる瞳。
振り下ろされた短剣は風を切り、動けない彼女の身を襲う。
コウガは助けに入ろうと地を蹴るが間に合わない。
拳を握り、見開いた瞳を力強く閉じた。
「…っ……」
「いつまで耐えられるか、楽しそうだからまだ生か しておいてあげるよ」
短剣は彼女の喉元ギリギリの所で停止。
数ミリも無い位置で待機する。
突きつけられた冷たい刃。
緊迫感に息を呑む。
すると鋭い痛みが走り、ツっと赤い液体が伝っていっ た。
虚ろな瞳の彼女に顔を近づけ、不気味に笑うフリー
ド。
口の端の血を舐めるとフードを目深に被り背を向ける。
「……待…て……!」
苦しそうに息をしながらも逃がすまいと地を這い蹲る。
「今殺す事もできる。でも、今回は見逃してあげる って言ってるんだ。 せいぜい足掻きなよ、哀れな死神」
肩越しにそう言うと嫌みに微笑み姿を消した。

