ベンチは粉々に粉砕。

破片が飛び散るが標的である男性の姿はない。

と言う事は、性は無事である。




 「残念……」


背後から聞こえた声。


振り返ろうとしたがそれは叶わない。



彼はクレアの背後に周り、彼女の髪を掴むと壁に突き 飛ばす。


壁に身をぶつけ地に倒れた彼女の腹を思いきり踏みつけた。




 「…ぅっ……」


全体重をかけられ苦しそうに唸ると真っ赤な血を吐き、虚ろな瞳で彼を見上げると鋭く睨み付けた。




 「……フリー…ド……」


苦痛に顔を歪め掠れた声で呟くと腹部の足を弱々し く掴む。


見下ろす彼は無表情で足を掴むその腕を振り払った。




 「まだ正気でいられるとはね……」


信じられないと肩を窄めるとスッと右手を伸ばす。


その手には鋭く光る短剣が握られていた。

クルリと回しその刃を地に向けると、クレアの喉元へ と振り下ろす。