黒いマントに身を包み深く帽子を被るのは、ラグナレア国の王子レグナード・ディ・ルーガン。


彼は自国を繁栄させる手掛かりを探る為独り町中を歩いていた。


一通り町を歩き終え、新たな収穫を得た彼は宿へと足を進めるが、暫くして彼は違和感に気付き目を細める。



先程から、後ろからジッと注がれる視線を感じ、誰かにつけられているようなそんな気がする。



肩越しに後ろへ視線を移すが、その正体を掴む事はできない。



不審に思った彼は次の角を急に右に曲がった。




後をつける人物は予想もしない彼の動きに焦り、見失うまいと急いで角を曲がる。




 「誰だ……」


 「おっといきなりピンチ」


角を曲がった所で待ち伏せしていたレグルは後を追っていた人物に銃を突きつける。



額に添えられた銃口に驚き両手を挙げるのは、乱れた茶の髪に黒縁眼鏡、汚れた白衣を身に纏うマット・ディレクト。


緊張感も無く、挙げた両手を握ったり開いたりしながら薄笑いを浮かべていた。