18年前、助けを求める彼女の心の声に気づいていれば、こんな事にはならなかった。


彼女の両親も死ぬ事もなければ、彼女自身が長年苦しみ此処で命を落とす事もなかった。



全ての始まりは18年前。

自分の言動が発端なのだ。




 「…ごめんなさいティム……ごめんなさい……ごめんなさい……」


 「自分を責めるのはお止め下さい。これは不慮の事故。貴女が悪い訳ではない」


 「…ですが…ですが……」


涙を流し自分を責めるシェイラは何度も何度も謝り続け、何度も何度もティムリィの名を呼び続ける。



そんな彼女をジークは抱き締め、優しく声をかけながら慰める。



彼の胸に顔を押し付け泣く彼女は、彼が傷を負っている事すらも気づかない。



ジークは彼女の頭をそっと撫で、優しく声をかけながら静かに見守った。





床に散らばる楽譜のページを、舞い込んだ風が悪戯に捲る。


その風は、あるページを開くと捲るのを止め姿を消した。



開かれたページに挟まれていたのは、一枚の古い家族写真。


その写真の中で、幼いティムリィは、彼女の両親は、とても幸せそうに笑っていた。