「貴方が居場所を見つけるまで手を貸すべきなのですが……」
「私なら心配いりません。それよりも早く、貴方の大切な方を救いに行って下さい」
彼女は微笑みそう言うと、地に膝を付き正座をした。
「正しき導き感謝します。貴方の無事を祈って……それでは、また何時かお会いできる日まで……」
両手を膝の前に付き深々と頭を下げる。
鈴のついた簪が揺れその音が鳴り響く。
その音が鳴り止むと共に彼女の姿は其処から消えた。
「くっ…ゲホッゲホッ……っ……」
遠退く鈴の音に耳を済ませ彼女を見送ったジークは苦しそうに咳き込み血を吐いた。
「…シェイラ…無事で居て、下さい……」
口元の血を拭い、ふらふらと覚束無い足取りで町の中へと姿を消す。
町の何処かで鈴の音が鳴り響く。
それは少女達が楽しそうに笑い合っているような、そんな響きを持つものだった。