「っと…危ない……」


銃弾に触れた茶髪が散り、頬からは血が伝う。


眼鏡を押し上げながら鋭い瞳のレグルを見下ろした。



 「…消えろ……殺すぞ……」


アンバーを抱きかかえ銃を構えるレグル。


怪我を負う手で握る為、銃は赤く染まり血が滴る。


自分の額に向けたれた銃口を見ても、マットは脅えた様子を一切見せる事はなかった。




 「そんな傷だらけの体で言われても、何の脅しにもなりやしない。大体その銃、弾入ってるの?空発なんじゃない?」


目を細め余裕綽々に言う彼は嫌味に笑う。


何を言われようと、レグルは銃を下ろそうとはしない。


じっとマットを睨み付ける。




 「でも、今回は退くよ。こっちも早く修理しなくちゃいけないし、今物凄くうずうずしてるんだ、実験がしたくてさ……」


銃を投げ捨て倒れるアリューの髪を掴む。


そして高らかな笑い声を残し、その場から姿を消した。