「あっぶないなぁ……」
木の幹に背を預け高みの見物を決めていたマットの頭上にめり込む銃弾。
本来なら彼の額に風穴が空く筈だったのだが、銃弾の軌道はそらされた。
ポケットに両手を突っ込んだまま交わそうともしなかった彼を救ったのはアリュー。
転がるナイフを足で弾くと左手に取り、それを投げ銃弾の軌道を少しそらしたのだ。
再び鳴り響く銃声。
今度の標的はアリュー。
銃声は連続で5発。
アリューはアンバーの胸から刃を引き抜くとその銃弾を弾き返す。
4発目を防ぎ次が最後となった瞬間、アリューは地を蹴りマットの前に立ちふさがる。
そして最後の銃弾は彼女の腹に風穴を開けた。
4発はアリューに、5発目はマットに向けられた攻撃。
アリューはマットを守る為に銃弾をその身に受けたのだ。
「んー……まだいけるね」
座り込む彼女を調べたマットは軽く言うと、彼女の髪を掴み立ち上がらせる。

