扉が閉まり、再び暗闇の中に1人残されたクレア。
膝を抱える腕の中に埋めていた顔を上げ、閉じられた扉をじっと見つめる。
窓辺のカーテンが夜風に揺れ、はためく音に目を向けると、窓の外に浮かぶ星が1つ、煌めきながら流れて行った。
彼女は星の流れた夜空を暫く見つめると、涙で濡れた頬を拭い目を擦る。
そしてゆっくりと立ち上がり、長い銀髪を靡かせながら部屋の扉へと歩んでく。
何かを乗り越え決意したような彼女の後ろ姿。
欠けた月は彼女を後押しするようにその背を照らし、瞬く星々は煌めきながら静かに見守る。
迷い込んだ風さえも、夜の音色を奏でる虫達さえも、彼女を応援しているような、そんな錯覚を覚えてしまいそうになる、ある日の夜の出来事だった。

